Episode.2

本当の勝利とは
選手を一番に考えて、主体性を大切にされている指導者の方も多いと思います。
しかし、そこに結果が伴わない葛藤やジレンマもあると感じます。
当然クラブを運営していく中で選手を確保しなければならない、それは絶対必要だと思います。その中で看板として、●●大会優勝とか、●●出場とか、そういったことがどうしても一番分かりやすい宣伝材料にはなる。それはすごく理解できます。

ただもっと大事な見るべきポイントは、そこにいた選手が将来どうなっていくかじゃないかなと。 例えば巣立った選手が、その後も頑張ってプロで活躍していますとか、日本代表になったとか。もしくは、社会に出た後も色々な形でサッカーを続けて活躍しているなど。

その時のチームが強いかどうかより、そこで学んだ選手たちが、その先どう活躍しているかというところにもっと評価軸が変わっていかないと、この問題はなかなか解決できないと感じます。 親御さんにとってもチーム選びは難しいところだと思いますが、チームを見る時の大事なポイントはこういうところじゃないかなと私自身は思いますね。
育成と結果の両方は求められないのでしょうか?
いや、そこが結びつかないことはなくて。 正しい道で進んで、その先に勝利があるっていう、勝利の追求の仕方の問題だと思うので、そこは分けて考えたことはないですね。それはどの年代でもそうです。
正しいやり方で勝利につなげるという吉永さんの考えを聞かせてください。
私も30年やってきたから言えることですが、「本当の勝利」って何かっていうところですね。

特に育成に関わる指導者の本当の勝利とは何かというと、自分が関わった選手たちが、当然選手としての成功もそうですし、その選手たちが大人になって立派に社会人として活躍しているとか、そういったことが私の中では勝利なんですね。
将来的な目線での勝利ということですね。
そうですね、そこを目指さないとやっぱりうまくいかないです。
本当の意味での勝利とは何かってなると、やっぱり私はそこかなと思います。

だからこそ追跡しちゃうんですよね。
選手たちと長く付き合ってしまうのもそこにあって。
やっぱりそこが見たいし、知りたい。自分がやってきたことが本当に正しかったかどうかの答えは、もうそこにしかないと思っています。
日本一になったって、これは自分の中ではもちろん大切な良い思い出ですが、そこに何か大きな価値があるわけではない。選手権優勝も選手がやったことですし、それも人生の通過点でしかない。メダルを大事に持っている必要は私の中では全くなくて、もっといいことがこの先あるよっていうことを伝えられる方が私は良い指導者だと思っています。
そういうスタンスで選手と接することができるようになったことが自分の中では一番成長したことかなって思っていますね。
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