「個性」を見てくれる先生でした。
当時の柔道部員はいわゆるヤンキー?というか、やんちゃな先輩が多かったのですが、そんな彼らを道場に連れてきて、エネルギーを柔道で発散させるみたいな。
先輩たちが練習に来なくなった時期もあったんですけど、先生は絶対帰ってくるから大丈夫だって言って。そしたら本当に帰ってきて、先生の思っているように見事に事が進んでいくんですよ。
一つ上の先輩たちは、元々、柔道素人だったり真面目とは言い難いような先輩が多かったのですが、そんな先輩たちの体と心を鍛えて、全国ベスト16まで育て上げた。それを間近で見ていて、なんかほんと、先生すごいなって。
一つ上の先輩で、いつも真面目に頑張っている先輩がいました。
ある日、その先輩が私の同級生を泣かせたんです。理由が、その同級生のお姉ちゃんの悪口を言った。それで同級生は傷ついていたんです。その時の先生の対応がすごかった。
先生はその先輩を道場に呼び出して、もう道場中、先生の声が響き渡るくらい泣きながら説教したんです。先輩も普段すごく真面目で優しい先輩だし、先生のそんな姿も初めてだった。
私にとってはギャップもそうなんですけど、先生が一番大事にしているところって、柔道が強い、弱いとかじゃなくて、人に対する接し方だったり、教育の部分を軸に置いているからこそ、この一件に対して、そのくらい熱い反応だったんだろうなって。
ダメなものは何がなんでもダメだって。物事の基準っていうのを明確に持っている先生なんだなって、なんか信頼できる先生だなって当時そんな風に思いました。
そして、そんな先生との出会いが、「人を育てる」って面白いなって思って、教師を志すきっかけにもなりました。