Episode.2

柔道との出会い
横山さんの柔道との出会いについて教えてください。

柔道家だった祖父の影響が強かったです。車で20分くらい離れたところに暮らしていましたが、子供ながらに祖父は厳しく、怖い存在の人で。
「目を見て話なさい」とかそういうこと常々言われていて、会いにいくときはいつも何となく緊張していましたね。笑

そんな祖父のすすめと、友達が柔道を習っていたこと、そして近所に練習場があり、もうやらない理由がないというか、すぐにでも始められる環境があり、それでです。

自主練習はお祖父様とされていたのですか?

週1回は祖父と練習する日があって、そんな日ははやく時間が過ぎることだけを考えていました。笑
練習日以外でも、毎週トレーニングメニューを渡されて練習するように言われていました。でも私はその日はやるけど、次の日から全くやらないで、でも祖父には「ちゃんとやったよ」と報告しているような、そんなダメな子でした。笑

柔道に対して自分が努力して何とかしようっていう気持ちが、祖父が生きている頃に何もなくて。それが今振り返ると、やっぱダメだったな、もっとやっておけば変わってたなっていう想いは実際あります。

自分を想う気持ちを感じたことはありましたか?

はい。
祖父はいつも最後の最後は私の考えを尊重してくれていました。

練習に連れ出されはするのですが、「疲れたか?よし帰ろう」みたいな面もあったりして、無理に強制されることはなかったですし、泣きながら練習みたいな厳しさも一切なかったです。

思い出のエピソードはありますか?

一つ、好き嫌いについてのエピソードがあります。

祖父は戦争を経験していて、当時、全滅と言われた部隊から、自力で奇跡的に生還するような、そんな人でした。

そのような経験からか、私が祖父の家に行ったとき、鶏肉が嫌いで食べなかった私を見て、祖父のスイッチが入ってしまった。「俺が戦争のときは、食べないやつから死んでいった」と。
「食べ物に好き嫌いなんてするもんじゃない」というのを実体験をもとに聞かされていました。

祖父は柔道で全国優勝する実力を持っていたので、本当に努力した人だったのだと思います。

そして直接的に言われたことはなかったですが、そんな風に私にもなってほしいという願いがあったのだと思います。

祖父との稽古風景
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